ペンネームの決定過程におけるスシタロウの果たす役割について

ブログを再開するにあたって、一番悩んだのが「ペンネーム」だ。センスのあるペンネームでないと、誰にも読んでもらえない。総閲覧数が「3」だった前回の反省を踏まえなければならない。  自分のセンスをフル回転をさせ、仕事そっちのけで、思いついたペンネームがこの「緑田るっこら」である。  私は世界一お洒落な食べ物は「ルッコラ」だと思っている。イタリア料理によく使われるルッコラとの私の最初の出会いは、大学3年生の春である。正確にいうと、それ以前にもルッコラとは何度か出会っているのだと思うのだが、それを「ルッコラ」と認識はしていなかった。東京に暮らし始めて、新たなアルバイト先を見つける時に、働きたくないという気持ちと収入を得なければならないという狭間に立たされて、どうせ働かなければならないのであれば、「モテるバイト」をしようと、カフェに絞ってアルバイト探しをした。  一軒目に面接に行ったカフェは一人暮らしをしていたアパートから程近いお店である。結果不採用であったが、敗因はハッキリしている。よくありがちなアルバイト面接の質問として「今までアルバイト経験はありますか」というものがある。  私はこのアルバイトを受ける前まで、「スシロー」という東証一部上場の大手回転寿司チェーンでアルバイトをしていた。今でこそ「スシロー」は誰もがよく知られている企業であるが、当時はそれ程の知名度ではなかったのかも知れない。「あなたは「スシタロウ」でどのような業務をしていましたか?また、「スシタロウ」での経験をどのように活かすことができますか?」面接官のその言葉に、私は少し困惑しながら、少し食い気味に「あ、スシローです!!」と訂正を入れてしまった。今考えると一切本質的でない部分で、噛み付いてしまい、面接官のプライドを傷つけてしまったことを反省している。あの面接官のイラッとした顔は未だに憶えている。  ただ、その時私はまだ若く、「ん、スシタロウ?なんだそれ?俺、履歴書にスシタロウなんて書いたかな?もしかしたら「スシロー」と間違えているのか!しかもこの人「スシタロウ」って連呼しているぞ!?一刻も早く訂正しなければ!」との思いから、必死で訂正をした。今であれば、「はいっ!私は「スシタロウ」で、一生懸命働いていました!!」などと架空の面接官の頭の中にしかない回転寿司店で働いていた好青年を演じ、面接官を満足させることができたであろう。迎合することは生きていく上で最も重要な術である。

前置きが長くなってしまったが、生意気な大学生だと思われてしまった私が不採用に落胆しつつ、次に面接を受けたお店がルッコラを取り扱うカフェである。そこでは「スシタロウの悲劇」を繰り返すことなく、無事に面接に合格を果たすことができた。「スシタロウ」は神様が与えてくださった私とルッコラの出会いの伏線だったのかもしれない。そのカフェには、パストラミビーフルッコラを挟んだサンドウィッチのメニューがあった。

 ルッコラ自体には特徴がなく、見た目もその辺りに生えている雑草と大差はない。加えて、味もそこまで美味という訳ではない。ポイントは、海外、とりわけイタリアで重宝されているであろうという点である。日本という島国育ちで、その中でも田舎の出身の私にとって、海外は特に憧れの象徴であった。欧米列強の精神は今もなお、日本人の田舎者の心には、強くコンプレックスとして刻み込まれているのだ。 加えて、ルッコラの仕込みは他の素材の仕込みに比べてとても簡単だった。不器用なくせに、モテるためにアルバイトを選んだ私にとって面倒な仕込みの業務は非常に苦痛だった。加えて、想像に反してモテることもなかった、あのバイト先で、仕込みも簡単でお洒落なルッコラに私は首ったけだったのだ。 そんなアルバイト時代の思い出がふと蘇り、好きなカラーの緑にルッコラを絡めて、かわいいアピールのため、「ルッコラ」を「るっこら」とした。緑とるっこらの間にある「田」にはなんの意味もない。 このペンネームが功を奏したのかは定かではないが、当ブログの閲覧数は、本日17時現在で「35」を数えていることもやはり、「ルッコラ」に対する日本人の憧れを感じざるを得ない。さて、本日は、その「ルッコラ」を紹介したいと思う。