のど飴と、くじ引きと、私

大手コンビニの700円以上購入するとくじが引けますというキャンペーンが嫌いだ。

先日、コンビニを訪れて買い物をして、会計に並んでいた時にこのキャンペーンをやっているという張り紙に気がつき、慌ててレジ横にある全く要らない「のど飴」で調整をし、700円以上のミッションをクリアした。ちなみに、私はコンビニで700円以上利用する人間は浪費家であると思っている。700円以上購入するお客を増やす事を目的にくじ引きキャンペーンを実施していることも百も承知である。

だがそれにも増して、私はくじ引きが好きだ。くじ引きのために生きて来たといっても過言ではない、荒くれギャンブラーなのである。

その日もワクワクしながら自分の会計の番を待っていた。「次の方、どうぞー」…この時点で少し違和感は憶えていた。

会計が終わった。

レシートが渡されて、「次の方、どうぞー」とアンドロイドのように無機質でやる気のない発声をする店員さんの前で私はレシートを握りしめながら、絶望した。会計の前に感じた違和感…

何を隠そう、この店員さんの新人感とやる気のなさだった。この店員さんは、事もあろうかコンビニ店員として一番大切な仕事である「くじ引きを引かせること」を忘れてしまっているのだ。

「く、くじを引いてもいいですか…ぐふふふ…」そんな言葉が喉から出掛かったが、なんとか飲み込むことができた。スマートな社会人の私が発してはならない言葉だからだ。この場合は、もうアンドロイド店員が「次の方」を呼んでしまっているので、「なんだ、このおっさん、くじ引きくらいでガタガタいってるんじゃねーよ」と店員さんと「次の方」の2人に思われてしまうのである。正しいことを発言できない、主張することのできない悲哀。私は忖度したのだ。

普段、私は店員さんに対して、無類のくじ好きであることはひた隠しにしている。「今、キャンペーンをやっていまして、こちらのくじを引いてください」などと言われると、早る気持ちと、勢い良くくじ引き箱に突っ込みそうな左手(私は左利き)を抑えて、「ああ…そうなんですか…知らなかったなぁ」のようなテンションで面倒くさそうに演じながらくじを引くのだ。スマートな社会人の私がくじ引きが好きな人間などと店員さんに悟られてしまうのは避けなければならないのだ。 今回のケースについては、本当は「お前、ふざけんなよ!くじ引き、引かせろよこの野郎!!」と胸ぐらを掴んで、喚き叫びたいのが本音なのだが、スマートな社会人はそんなことをしてはならない。嫌な世の中である。くじ引きなんてこの世からなくなればいいのに… 購入したのど飴が喉に染みた。のど飴ってこんなにノスタルジーを感じるものだったっけ。ということで本日はのど飴を紹介します。